リハビリテーション・ケア合同研究大会北九州2004発表記録



通所リハビリテーションにおける理学療法士の役割

〜現状の報告と今後の課題〜

いこいの家 鳴山荘 通所リハビリテーションセンター ステップ

理学療法士・岩佐 学


【はじめに】


 当通所リハビリテーションセンター(以下、当通所リハと略す)では、『地域に根ざし、暮らしを支えるリハビリテーション(以下、リハと略す)』を理念に掲げ、開設当初より利用者様の『生活』をキーワードとしたケアとリハの展開に努めている。今回は、これまでの取り組みを紹介するとともに、効果の検討と今後の課題を探求する事を目的に、職員を対象としたアンケート調査を実施し、通所リハにおける理学療法士(以下、PTと略す)の役割について検討・考察したので報告する。

【リハシステムの紹介】


 リハ処方後の標準的な流れとしては、家庭訪問を実施し、物理的環境、人的環境の把握や、自宅における生活の仕方の確認を行い、ケア・リハプログラムにフィードバックしている。またリハ実施計画書に基づき本人、又は家族に対してインフォームド・コンセントを徹底し、リハへの主体的参加を促進している。具体的な活動面へのアプローチとしては、@入浴関連動作(浴室内の移動や着脱衣動作)A食事動作チェックB排泄動作(食後のトイレ誘導等)C送迎車輌への乗降動作の指導等(送迎車輌同乗)を他職種と協業して実施している。これらの情報及び介助量・介助技術については、申し送りやカンファレンスにおいて他職種に伝達し、情報の共有に努めている。

【対象と方法】

 当通所リハに従事する職員10名を対象とし、上記@〜Cに関連したPTの取り組みに対して、自由記載欄も含め独自に作成したアンケート用紙を配布して回答を求めた。

【結果】

 @BCに関しては80%以上がほぼ満足以上と良好な結果が得られた。しかしAに関しては70%が普通と回答し、その理由としては評価結果のフィードバックが不十分であるという意見が多くを占めた。自由記載欄においては、PTに対して移動に関連したアプローチを求める意見が多くを占め、利用者のニーズと一致する結果となった。またAの結果で多く聞かれた通り、より密な情報交換を希望する等、現行のシステムにおける情報の共有の面に不備が指摘される傾向を認めた。

【考察】
 
 通所リハのPTとしては、利用者様がその生活の拠点において継続的に安全でかつ安心でき、質の高い生活が送れるようにリハの立場から支援し、常にASL、QOLの向上を目指すことが重要である。また利用者様の問題点やニーズの見極めが必要であり、これは利用者様だけでなく周りの家族も含めた形で捉えなければ行き届いたサービスには結びつかない。当通所リハでは利用者様の家庭環境を把握し個人の生活環境に合わせた個別リハを実施するとともに、PTの視点を通してケアに参画しリハ・ケアについて検討、提案をしている。これらの実践により利用者様へのリハ・ケアの内容充実が図られ、アンケート結果でも満足〜ほぼ満足という回答が得られたと考える。しかし、生活の再建という共通目標はあるものの、情報交換の不備によりそれぞれの専門性を活かすことができず、有機的なチームアプローチが実践されていたとは言い難い。今後もADL評価及び指導、トレーニングの力量を実践を通して高め他職種との情報の共有化を徹底し、利用者様の生活に活きるリハを展開することが課題である。