第4回 パワーリハビリテーション研究会


当法人におけるパワーリハビリテーションの実践と効果

       鳴門山上病院  
竜田庸平(PT) 山上久(MD) 國友一史(MD)
                   直江貢(PT) 網本圭志(PT) 小野郁美(OT)

keyword パワーリハビリテーション 行動変容 外来


【はじめに】


 当法人は、《わたしも受けたいケア、わたしも利用したい施設。わたしたちは、それを目指します。》を理念に掲げ、地域におけるリハビリテーション(以下リハ)中核施設としての役割を担うべく事業を展開している。総合リハ施設を承認され、外来・入院・入所・通所・在宅の各形態で亜急性期・回復期・維持期(生活適応期)の各病期に対応したリハアプローチの展開に努めている。

 今回、平成16年8月1日より維持期(生活適応期)リハアプローチの有効な手段として機能させることを目的に、ドイツプロクソメッド社製コンパストレーニングマシン (ローイングMF・トーソエクステンション/フレクション・レッグエクステンション/フレクション・ホリゾンタルレッグプレス)を導入し、主として外来患者を対象としてパワーリハを行った結果、本アプローチの最終目標とされる行動変容等の効果を確認したので、実践例および今後の課題について報告する。

【対象】


 当法人におけるパワーリハパンフレット(図1参照)を用いてパワーリハの説明を十分に行い、3ヶ月パワーリハを施行した外来リハ患者8名、女性4名・男性4名、平均年齢65.9歳±8.79歳、中枢神経疾患6名・変形性膝関節症1名・脊髄損傷1名を対象とした。

【方法】

@ 当法人では独自にパワーリハ機器設定表・パワーリハ実施記録・パワーリハ評価3つのチャートを作り、これに沿ってパワーリハを進行している。なお、パワーリハ評価の内容として、握力・開眼片脚立位・ファンクショナルリーチ(以下FR)・体前屈・Timed up and go(以下TUG)・10m歩行スピード(以下10m歩行)を採用した。

A 対象の評価を初期評価群と最終評価群に分別し、両者の比較検討及びt検定にて調査した。

B 調査結果を考察し、今後の課題・反省点・展望を抽出し、まとめた。

【結果】

 全症例での平均値検定の検定では握力・開眼片脚立位・FR・体前屈・TUG・10m歩行全てにおいて有意差は認められなかったが、著明な効果を示した症例が2症例あった。

【著明な効果を示した症例紹介】

1)68歳女性、脳梗塞(平成16年7月19日発症)にて左不全麻痺を残し、当院にてリハの継続中である。Brunnstrom stage上肢X・下肢Y・手指X。左握力500g。基本動作・日常的な歩行・ADLについては問題なく生活できている。発症前は活発的な方であり、友人から旅行の誘いがあれば同行していた。しかし、脳梗塞を患ってから自信が消失し、家に居る機会が多くなっていた。今回パワーリハを施行し、左握力・TUG・10m歩行が著明に改善した。現在は身体能力に対する自信が付き、近々旅行を検討中である。

2)55歳男性、平成13年10月19日階段から転落し、C5-6頚随損傷発症。以来、四肢不全麻痺を残し、当院にてリハの継続中である。右上・下肢に筋トーン亢進見られ、麻痺の程度も強い。基本動作・日常的な歩行・ADLは自立にて可能であるが、リハに対する執着心が強い。今回パワーリハを施行し、右握力・左握力・開眼片脚立位・FR・体前屈・TUG・10m歩行の全評価項目で改善が見られた。現在は受け身であるリハだけではなく、自宅での自己トレーニングが習慣化している。

【考察】

 現代の社会・これからの社会は、パワーリハ研究会が掲げる《自立支援・介護予防》が非常に重要である。このことはリハに従事する私たちにとって日々再考させられる。しかし、より効果的なリハ提供が我々にとって使命であり目標であるが、介護を必要とする慢性期・維持期(生活適応期)と呼ばれる病期では効果検討が難である。
 今回、その慢性期・維持期(生活適応期)の患者に対してパワーリハは、行動変容という形になって結果を残した。このことはパワーリハ研究会が掲げる、筋−神経システムの活性化が患者の身体機能を向上し、動作性の改善から体力の改善、活動性の改善、そして行動変容というプロセスに基づく結果と考える。
 しかし、当法人はパワーリハ開始から1クール(3ヶ月)終了したばかりであり、経験が浅い。これからは、症例の増加・システムの確立・パワーリハ後のQOL調査・アセスメントの結果に基づく、個々人に対応したフォローアップを検討することが必要と考えられる。そして、今後も効果検討を継続し、日々パワーリハに対する習熟度を高めていきたいと考える。